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Story03

Story : 03
ウェットスーツ素材の常識を変えた
科学者 山本敬一の安全なモノづくり

ウェットスーツ素材は、『ラージセル(大きな気泡構造)』が最高とされていた1960~70年時代。
そんな時代にヤマモトは真逆の『スモールセル(小さな気泡構造)』のウェットスーツ素材を開発し、販売することに。何故そのような変換に至ったのか、今回はそんなお話しです。


常識が気に入らない



当時、アメリカ、イギリス、イタリアにウェットスーツ素材メーカーが存在していました。
ルーバーテックス、セントアルバンス、カークヒルラバーなどのメーカーが、世界中にウェットスーツ素材を供給していました。

この時代はウェットスーツ=ラージセルが、軽くて温かく、そして柔らかいという最高の素材であるとされ、業界のトレンド、いや、もはや常識となっていました。
ウェットスーツ素材には発泡ゴムと呼ばれる合成ゴムを使用されており、発泡剤という薬品を使用することで、ゴムの中に気泡を作ります。それ故に発泡ゴムはゴムスポンジとも呼ばれます。

ラージセルのウェットスーツ素材を生産する場合、『ACタイプ』という発泡剤を使用します。これは安価な材料なのですが、実は取り扱いが危険な物質。例えば、冬場などによく起こる静電気でスパークしてしまうと大爆発をして、工場の屋根が吹っ飛んでしまう程の威力を持っています。

人のつながりが想いをつなぐ


ラージセルの素材を作るには、危ない発泡剤を使用する以外に道がありませんでした。 何故なら安全な発泡剤は価格は6倍以上もするため、世界の中での競争力もありません。

そこで敬一は、ラージセルをどうにかしたいという発想から、スモールセルで世界一の素材を作るという180度転換した研究を始めます。
また、機械設備においても機能的に改善する必要がありました。
発泡工程のプレス機は、もっと高圧で均一に圧力を掛けられる機械でなくてはなりませんでした。そのために数々の機械メーカーを探しました。

そんな時、神戸のある機械メーカーの社長との出会いがあり、敬一の想いを事細かに伝えました。
『山本敬一社長の夢を叶える機械をうちの会社で作らせてください』と二つ返事で快諾。
そして出来上がった設備は、国産でこれまでにない高圧・高均一を可能としたプレス機でした。

スモールセルへの変革


実はヤマモトは以前から西ドイツから輸入した小さいプレス機でスモールセルの素材は製造していました。

高額な材料を必要とするスモールセルの価格が高すぎたことで、この当時は海外市場では1枚たりとも売れませんでした。

大きくしたことで生産効率を高め、より理想的な国産プレス機で作ったスモールセルのウェットスーツ素材がどうすれば市場で認められるか、敬一はどのように売ったのでしょうか。
多くのメーカーが戸惑いや驚きが隠せない中、西ドイツのウインドサーフィン用ウェットスーツをつくる会社であるバラクーダ社から返答がありました。

『敬一がそこまで言い切るのであれば、今後、我々のウェットスーツはヤマモトのスモールセルに全面的に切り替えさせてもらうよ。』

スモールセルが主流となった今でも、他社のウェットスーツ素材メーカーが製造するスモールセルのラバーには、一定割合の『ACタイプ』の発泡剤が含まれています。ウェットスーツ素材としての着心地よりも、材料コストを抑えられるということで、このタイプの発泡剤を使い続けられていますが、ヤマモトは一切使用しません。
『お客様のため、働く社員のため』
今もこのコンセプトは継続しています。

これ以来「より安全で良いものだけを作る」ことは『山本敬一イズム』として加わりました。
安全なものを作るだけに留まらず、市場の常識を変えてでも、機能としてもお客様に喜んで頂けるモノづくりが重要だということを継承しています。


スタンダードと名付けられた素材も
スタンダードとなるまでは
さまざまな革新とインパクトがあったからこそ、そのポジションを勝ち得ることになりました。

Story:04 につづく