筋肉の「ハリ」の原因とは?「コリ」との違いや解消法も解説

コリについて

整形外科・スポーツ専門医

監修医師プロフィール

整形外科・スポーツ医 田園調布 長田整形外科院長

長田夏哉 医師

日本医科大学卒。那須赤十字病院、川崎市立川崎病院(医長)などを経て2005年田園調布 長田整形外科開設。日本整形外科学会 専門医、日本整形外科学会認定 スポーツ医、日本スポーツ協会公認 スポーツドクター。

筋肉の「ハリ」(筋肉が張っている状態)は何が原因で起こるのでしょうか。
筋肉が張る原因や「コリ」との違い、ハリを解消する方法などについてまとめました。
筋肉が張った感じがして、疲労感や倦怠感を覚える、身体を動かしにくい、痛みがあるという方は、ぜひ日常生活の参考にしてください。

筋肉の「ハリ」とは?

筋肉のコリ・痛みの発生プロセス

スポーツなどで筋肉に負荷がかかっている状態が続いた場合、筋肉に「ハリ」を感じることがあります。筋肉が張っているというのは、どのような状態なのでしょうか。筋肉にハリが生じる理由や「コリ」との違いについて説明していきます。

筋肉が張る原因のひとつは血行不良

筋肉が張る原因のひとつは、「血行不良」だと考えられています。筋力が弱まっていたり、普段の姿勢が良筋肉が張る原因のひとつは、「血行不良」だと考えられています。筋力が弱まっていたり、普段の姿勢が良くなかったりすると、血流は悪くなり、筋肉に運ばれる栄養・酸素が減ってしまいます。その結果、筋肉に疲労物質が蓄積して、筋肉は硬くなり、ハリや倦怠感を覚えるようになります。また、硬くなった筋肉やその周辺は血流が悪くなりやすいため、血行不良が悪化するという悪循環に陥りやすいので注意が必要です。

筋肉の「ハリ」と「コリ」の違い

筋肉の「ハリ」と「コリ」に共通するのは「筋肉の柔軟性が失われていて、血行不良になりやすい状態」ということです。実は、筋肉のハリとコリには関係があり、筋肉のコリによって、別の部分にハリを感じるケースも多いです。そのため、凝っている筋肉をほぐすことで、張っていた筋肉の症状が緩和されることもあります。
「コリ」や「ハリ」に厳密な医学的な定義があるわけではありませんが、一般的には以下のような状態が「筋肉が凝っている」「筋肉が張っている」状態だと考えられています。

「コリ」は力を入れていないのに、筋肉が収縮している状態

筋肉が凝っているとは、「力を入れていないのに、筋肉が収縮しているような状態」のことです。人の身体は、力を入れようとすると、動かす部位の筋肉が収縮します。収縮した筋肉は硬く、緊張した状態です。
通常であれば力を抜くことで、筋肉の収縮は緩まりますが、凝っている場合は筋肉をうまく緩めることができません。筋肉が凝った状態が続けば、痛みなどの症状も現れることがあります。

「ハリ」は筋肉が引き伸ばされている状態

筋肉の収縮が緩みにくい「コリ」に対して、「ハリ」は筋肉が引き伸ばされている状態を指します。凝っている筋肉がある場合、周囲の筋肉が張るケースも多いです。特定の筋肉が収縮することで、その周りの筋肉や拮抗する筋肉が引っ張られて、「筋肉が張っている」「だるい」「動かしにくい」と感じるようになるということです。

一般的にコリは部分的な症状なのに対して、ハリはより広い範囲で感じる傾向にあります。

また、スポーツやトレーニングなどの運動によって筋肉に過度な負荷がかかり、ハリを感じることもあります。「筋肉にハリがある状態で運動しても大丈夫かどうか」については記事の後半で説明するので、詳しくはそちらも参考にしてください。

筋肉のハリ・コリを解消する方法

筋肉のハリ・コリを解消する方法

繰り返しになりますが、筋肉の「ハリ」と「コリ」は密接に関係に関係しています。どちらも筋肉の柔軟性が失われて、血行不良になりやすい状態なので、筋肉の硬さを解消して、血流を促すことがハリやコリの解消につながります。筋肉のハリ・コリを解消する方法について説明していきます。

マッサージで凝っている筋肉をほぐす

凝っている筋肉の周辺や拮抗する筋肉が張っているケースもあるため、マッサージでコリをほぐすのが有効です。マッサージは血行を促進する効果も期待できます。筋肉のハリだけでなく、コリも感じる方は、鍼灸整骨院などでマッサージの施術を受けると良いでしょう。

ストレッチで可動域を広げる

筋肉が引っ張られて、ハリがある状態の場合、可動域が制限されているケースも多いです。可動域が制限されていると、筋肉が萎縮して、血液の流れは悪くなります。そのため、負担の小さいストレッチなどを日常的に取り入れ、動きの悪い部分の可動域を広げていきましょう。ストレッチに限らず、全身を動かすような運動は血流改善にもつながります。

普段の姿勢を改善する

「脚を組む」「猫背」などの姿勢は、肩や首などのコリの原因になります。座っているとき、姿勢が悪いと首の前側と背中の下側が緩み、胸と後頭部から肩にかけた部分が緊張してしまいます。筋肉の緊張のバランスが崩れ、筋肉に過度な負荷がかかることで首や肩がつらくなってしまうのです。こうした座っているときの姿勢不良で筋肉のバランスが崩れることを、上位交差症候群とも呼びます。

バランスが崩れたままだと、筋肉への負荷は増すばかりです。普段の姿勢の改善に努めましょう。コリが改善されて、ハリも解消される可能性があります。

漢方で血液の循環を助ける

血行不良による冷えや肩などのコリに悩んでいる場合は、漢方によるアプローチも方法の一つです。漢方の中には血液の循環を助けるようなものもあるので、病院や薬局、ドラッグストアなどで相談しましょう。血液の巡りを良くし、筋肉のハリやコリを和らげたいときに用いられる漢方薬としては、以下のようなものが知られています。

【血液の循環を助ける主な漢方】
● 冠元顆粒(かんげんかりゅう)
● 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
● 葛根湯(かっこんとう)
● 冠心逐瘀丹(かんしんちくおたん)

ボディメンテナンスウェアで血行促進をサポートする

ボディメンテナンスウェアは血行促進や疲労回復などを助ける衣類の形をした医療機器のことです。一定の基準を満たし、商品ごとに届出が必要な一般医療機器であるという点が、機能性ウェアと異なります。

ボディメンテナンスウェアには遠赤外線を放射する素材が使用されていて、着るだけで血行を促進し、疲労を回復したり、筋肉のコリを緩和させたりするのを助ける効果が期待できます。着るだけで日々の健康をサポートしてくれるという点が大きな特徴で、手間や時間がかからない手軽さがあります。

ボディメンテナンスウェアに使用されている素材などは、商品ごとに違いがあります。着用するシチュエーションや目的に応じて選びましょう。

痛みのある筋肉のハリ・コリに湿布を使用する場合の注意点

筋肉痛などの痛みがあり、ハリやコリを感じている場合、湿布を使用するケースもあるでしょう。湿布には「温かい湿布」と「冷たい湿布」がありますが、筋肉のハリ・コリにはどちらを使用すれば良いのでしょうか。

熱を帯びている感じがあるなら冷湿布、血行不良を感じるなら温湿布が使用されることが多いですが、どちらの湿布も基本的な成分は一緒です。

温感成分や冷感成分が配合されているだけで、「筋肉を温める・冷やす」という強い効果を持っているわけではありません。そのため、温湿布と冷湿布は、好きな方を使用しましょう。

ただし、痛みの種類によっては「温めない方が良い」というケースもあります。痛みの原因がわからないときや痛みが強いときなどは、医師の判断を仰ぐようにしてください。

腫れや炎症は冷やすことで痛みを和らげる

湿布の主な効果は鎮痛作用です。冷やすことで痛みが和らぐように感じるため、腫れや炎症には冷たい湿布が使用されます。たとえば、通常の筋肉痛や打撲などには、冷たい湿布が向いています。

慢性的なコリは温めて血流を良くする

筋肉のコリやハリの原因の一つは血行不良です。硬くなった筋肉の血流は悪くなりやすいので、温めて、血流を促すことが重要です。そのため、慢性的な肩や首のコリ、腰痛などには、温かい湿布が使われることが多いです。

筋肉痛やハリがある場合に筋トレしても大丈夫?

トレーニングなどを行った場合、翌日以降に筋肉痛やハリを感じることもあります。筋肉痛やハリがあるときに、筋トレをしてはいけないわけではありません。

しかし、筋肉痛などがある状態での筋トレは効率が悪いです。また可動域が狭くなっているので、筋肉の柔軟性に欠けます。このような状態で筋トレを無理に行うと、ケガにつながるケースもあります。

筋肉痛に関しては、トレーニングなどで損傷した筋繊維が修復している途中であるため、痛みや強いハリがあるうちは疲労回復を優先して、休養するのが無難です。回復をサポートするために、ボディメンテナンスウェアを活用するのもよいでしょう。

もし筋肉痛やハリがあるときに筋トレをするなら、「筋肉痛のない別の部位を鍛える」「トレーニングの負荷を下げる」「筋肉の回復に必要なタンパク質を十分に摂る」「ボディメンテナンスウェアを着用してトレーニングする」などの工夫をしてください。

筋肉のハリは血行不良や不良姿勢などが原因|日常生活から対策を

凝っている筋肉がある場合、その周辺や拮抗する部位の筋肉が張っているケースもあります。そのため、筋肉のハリだけでなく、コリも感じている方は、硬くなった筋肉をほぐすことが重要です。コリをなくすことは、ハリの改善にもつながります。

また、血行不良は筋肉のハリ・コリ両方の原因になります。どちらも筋肉の柔軟性が下がっていて、血流が悪くなりやすい状態です。適度な運動や姿勢の改善、マッサージなど日常生活を見直し、ボディメンテナンスウェアなどのサポートアイテムを活用して対策しましょう。

監修医師プロフィール

整形外科・スポーツ医 田園調布 長田整形外科院長

長田夏哉 医師

日本医科大学卒。那須赤十字病院、川崎市立川崎病院(医長)などを経て2005年田園調布 長田整形外科開設。日本整形外科学会 専門医、日本整形外科学会認定 スポーツ医、日本スポーツ協会公認 スポーツドクター。

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