冷えからくる腰痛の症状と対策|温めると楽になる腰痛の原因とは

冷えについて

整形外科・スポーツ専門医

冷えからくる腰痛の症状と対策

監修医師プロフィール

整形外科・スポーツ医 田園調布 長田整形外科院長

長田夏哉 医師

日本医科大学卒。那須赤十字病院、川崎市立川崎病院(医長)などを経て2005年田園調布 長田整形外科開設。日本整形外科学会 専門医、日本整形外科学会認定 スポーツ医、日本スポーツ協会公認 スポーツドクター。

冷えからくる腰痛の症状は、血行不良が原因のひとつです。「温めると楽になる」「冬になると腰が痛む」という場合、冷えからくる腰痛の可能性があります。冷えによって腰痛が起こる仕組みや、血行不良が腰痛につながりやすいケース、対処法についてまとめました。冷えからくる腰痛に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

冷えからくる腰痛の仕組み・原因とは

腰痛は椎間板ヘルニア、骨折などによる腰痛などさまざまな原因で起きますが、「冷え」が原因になっているケースもあります。冷えからくる腰痛は「非特異的腰痛」に分類され、レントゲンやMRIで原因を発見することはできません。

このような非特異的腰痛は、医師でも原因の特定が難しく「原因はわからないけれど腰が痛い」と悩まされている方も少なくありません。

冷えからくる腰痛は、血行不良や筋肉のこわばりが原因です。まずは仕組みと原因について解説します。

血行不良が腰痛につながる可能性

人の身体は、いつもは血液を通じて熱を外に逃がしています。しかし、寒さを感じると血管を収縮させて熱を閉じ込めたり、筋肉を収縮・振動させて熱を得たりします。血行が悪くなることで体内の老廃物がうまく排出されず、筋肉が緊張し、コリや痛みにつながるという仕組みです。

冬だけでなく、夏の冷房や寒暖差にも注意が必要

冷えによる腰痛というと冬のイメージが強いですが、血行不良は冬に限った話ではありません。屋内外で寒暖差があると自律神経が乱れやすく、体温調節や血流調整に影響が出ることもあります。

体温や血流は自律神経でコントロールされています。寒暖差が小さい場合、交感神経と副交感神経の切り替えは緩やかです。しかし、夏場の冷房などで寒暖差が大きいと、体温を一定に保つためのエネルギーの消費が多くなり、自律神経にも乱れが生じます。

このような寒暖差による体調不良を「寒暖差疲労」といいます。寒暖差疲労の主な症状は「倦怠感」「頭痛」「肩こり」などです。体温調節に不調が生じることで、身体が冷え、腰痛などにつながる可能性があるのです。

血行不良が腰痛の症状を引き起こしやすいケース

先述したとおり、冷えからくる腰痛の原因の一つが血行不良です。冷えに心当たりはない方でも、血行不良が慢性化していることで腰痛が生じていることもあります。ここでは、血行不良が腰痛の症状を引き起こしやすいケースについて説明します。

筋肉の疲労が原因の場合

普段行わないような動きをしたり、無理に動かしたりすると、腰の筋肉が疲労して硬くなります。こうした筋肉の硬直は、ハリ感などの腰痛につながるたけでなく、血管を圧迫したり、可動域が狭まったりするため、血行不良も招きます。血行不良が冷えなどにつながり、腰痛を引き起こす悪循環に陥ることもあるのです。

加齢や運動不足が原因の場合

筋肉を使わないでいると、その部位の筋肉は徐々に弱くなっていきます。筋肉が衰えると、筋肉そのものへの負荷を増えるだけでなく、身体の血液を循環させる機能(ポンプとしての役割)も低下するため、血行不良になりやすいです。

このため、腰や腰周りの筋肉が弱くなれば、腰痛を引き起こしやすくなります。筋肉が弱る原因は加齢や運動不足などです。一般的に筋肉量のピークは20代前後だといわれており、意識して適度な運動を習慣付ける必要があります。

腰に負担のかかる姿勢が原因の場合

「座りっぱなし」や「中腰」などの姿勢は、腰に大きな負担がかかります。とくに座っている時間が長かったり、座っているときの姿勢が悪かったりすると、腰への負担は大きくなり、腰痛を引き起こしやすいです。デスクワークの方、運送業、看護師、介護士の方などは、腰痛になりやすいので注意してください。適宜ストレッチなどを行うようにして、腰への負担を軽減するようにしましょう。

室温や外気温の低さが原因の場合

気温が低くなる秋や冬、冷房の効いた室内にいる場合、身体は熱を逃がさないために血管・筋肉を収縮させるので、通常よりも血流が減ります。これは生命を維持するうえでより優先度の高い内蔵へ血液を送るためです。筋肉への血流が不十分で、筋肉が硬くなっているときに、身体を急に動かそうとすると腰痛などの症状が出やすくなります。身体を冷やさないよう、服装で工夫しましょう。

腰痛の症状が冷えからくるものかを判断するポイント

ここからは、冷えからくる腰痛であると考えられる目安や判断ポイントを紹介します。心当たりのある方は、後述する対策・対処法を試してみてください。

ただし、腰の痛みの原因を簡単に断定することはできません。複合的な要因によって腰痛の症状を引き起こしているケースも多いため、セルフケアで良くならない場合、物理的要因などに心当たりがある場合は医療機関の診察を受けましょう。

症状が温めると楽になる

腰周りをカイロなどで温めたり、お風呂で湯船に浸かったりしたときに症状が楽になるなら、冷えからくる腰痛の可能性があります。これは身体を温めることで、血流が良くなり、筋肉のこわばりが緩和されるためです。またストレッチや軽い運動などで腰が楽になる場合も同様です。

冬や冷え込んだ朝方に痛みが出やすい

1年を通して腰痛の症状が出ているわけではなく、「冬や朝方に痛みを感じやすい」という場合も、冷えからくる腰痛の可能性があります。前述のとおり、気温の低い季節は筋肉への血流が悪くなりやすいです。

ただし、敷布団やマットレスなどの寝具が身体にあっておらず、寝返りの回数が減ることで腰に痛みが出ていることも考えられます。寝起きに腰の痛みを感じる方は、寝具や寝室環境もあわせて見直すことをおすすめします。

腰痛のレッドフラッグで判断

冷えからくる腰痛は非特異的腰痛であり、つまり血液や画像等の検査では原因が特定できないものです。しかし、特に次のような条件・症状に心当たりがある場合は、検査で原因がわかる重篤な腰痛の可能性があるため、すみやかに医療機関の診察を受けてください。

● 症状を訴える人物の年齢が20歳未満、または50歳以上
● 時間や活動との関連性がなさそうな腰痛(何もしていないのに痛い)
● 胸にも痛みがある
● がん・ステロイド治療・HIV感染などの履歴がある
● 栄養不良
● 体重が減っている
● 広範囲で筋力が低下したり、尿や便が出にくい障害が出ていたりする
● 構築性脊椎変形がある
● 発熱がある

冷えからくる腰痛の症状への対策・対処法

冷えからくる腰痛の原因の一つは血行不良なので、血流を促すことで、痛みが緩和されます。冷えからくる腰痛だと考えられる場合は、以下のような対策・対処法を試しましょう。

湯船に浸かって、身体を温める

普段、シャワーのみで済ませている方は、湯船に浸かって、身体を温めるようにしましょう。湯船に入る習慣があっても、お湯の温度が高過ぎると入浴時間が短くなり、身体の芯まで温まっていないケースもあります。少しぬるくても良いので、ゆっくりと湯船に浸かることがポイントです。

カイロやブランケットで冷えを防ぐ

気温が低くなる季節には、カイロなどで冷えを防ぐのも有効です。また、夏のエアコンによって身体が冷えてしまうケースもありますし、室内外の寒暖差で自律神経に乱れが生じることもあります。夏でも必要に応じてブランケットを使用して、身体が冷えないようにしましょう。

負担の少ないストレッチで身体を動かす

血行不良を改善するためには、日頃から適度に運動することが大切です。運動不足は血行不良につながり、腰痛を引き起こします。適度な運動習慣は筋肉の衰えを防ぎ、血行促進になります。硬くなった筋肉を急に動かしたり、無理な動きをしたりすると腰痛を引き起こしたり、悪化させたりする恐れもあります。負担の少ないストレッチなどから始めましょう。

体温を上げるような食材を食事に取り入れる

血流を良くして、冷えからくる腰痛を予防するためには、日々の食事も見直しましょう。気温が高くなる夏は冷たい飲食物を摂りたくなりますが、冷たいものの食べ過ぎ・飲み過ぎで身体が冷えることもあります。

食事の有無も、体温上昇にかかわります。1日3食を基本にバランス良く食べつつ、「体温を上げるような食材」を食事に取り入れましょう。たとえば、以下のような食材や食べ物には、体温を上げる効果があるといわれています。

【体温上昇の効果を期待できる食材・食べ物】
● 肉類(牛・鶏など)
● ショウガ
● タマネギ
● シナモン
● くるみ
● 納豆
● チーズ
● ココア

腰周辺を冷やさないような服装をする

冷えからくる腰痛を防ぐためには、腹部や下半身をしっかりと温めることが重要です。腰や腰周りが冷えないような服装を意識しましょう。たとえば、スカートは寒さを感じやすいので、腹巻きや厚手のタイツ・スパッツなどで対策してください。また、夏でも冷えを感じる場合は、「インナーを少し厚手のものにする」「長袖のカーディガンを羽織る」なども効果的です。

ボディメンテナンスウェアを着用する

ボディメンテナンスウェアとは疲労回復や血行促進などのサポートを目的に作られた、衣類の形をしている医療機器のことです。服には身体を直接的に保護したり、環境(暑さや寒さ、紫外線など)から守ったりする役割がありますが、リカバリーウェアはそこから一歩進んで、着ることで身体の健康を補助してくれます。

ボディメンテナンスウェアの素材は商品によって異なりますが、基本的には遠赤外線を放射する素材が使用されていて、血行促進などの効果が期待できます。ストレッチや食事による対策とは異なり、着ている間温められるので、日中ずっと腰がつらい方にも向いています。

【ボディメンテナンスウェアで期待される主な効果】
● 血行促進
● 疲労回復
● 筋肉のコリやハリの緩和

先述のとおりボディメンテナンスウェアは一般医療機器に分類されます。2022年に厚生労働省は一般医療機器に「家庭用遠赤外線血行促進用衣」という新カテゴリーを設けました。ボディメンテナンスウェアの販売には、日本医療機器工業会が定めた自主基準を満たすことに加えて、指定の機関への届出も必要です。この点が一般的な機能性ウェアと大きく異なる部分なので、ボディメンテナンスウェアの購入を検討する際は、一般医療機器として届出がなされていることを確認しましょう。

腰痛の原因がわからない場合は、早めに医療機関を受診することが重要

繰り返しになりますが、腰痛の症状は複合的な原因で起こっているケースも多く、簡単に原因を特定することはできません。そのため、腰痛の原因がわからないのであれば、医療機関を受診してください。

また「痛みが引かず、徐々に強くなっている」「腰痛以外にも発熱や身体のしびれなどの症状がある」といったケースでは、治療が必要な可能性もあります。早めに医療機関を受診することが重要です。

冷えからくる腰痛の症状は温めると楽になるのが特徴|運動習慣や服装などを見直そう

冷えからくる腰痛は、血行不良が原因の一つです。運動不足で筋肉が弱っていたり、筋肉に疲労が溜まっていたりすると血行不良による腰痛の症状が出やすいので注意しましょう。腰痛を引き起こす原因はさまざまですが、「温めると楽になる」「冬や朝方に症状が出る」という場合は、冷えからくる腰痛の可能性があります。

日々の生活習慣や食事、服装などの見直しは、冷えからくる腰痛に効果的です。ボディメンテナンスウェアなどのアイテムを使用して、簡単に対策するのもよいでしょう。また、体温や血流は自律神経によってコントロールされていて、交感神経・副交感神経のバランスの乱れも腰痛につながります。寒暖差やストレスで自律神経が乱れるケースもあるため、寒い季節以外も冷えや血行不良の対策を行うようにしてください。

監修医師プロフィール

整形外科・スポーツ医 田園調布 長田整形外科院長

長田夏哉 医師

日本医科大学卒。那須赤十字病院、川崎市立川崎病院(医長)などを経て2005年田園調布 長田整形外科開設。日本整形外科学会 専門医、日本整形外科学会認定 スポーツ医、日本スポーツ協会公認 スポーツドクター。

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